なんとも面白くてびっくりするような
人生を歩んできたお二人。
9歳から両親と日本全国を巡りながら旅芸人をしてきた
今は野良着作家として活躍している萌さんと、
高校に進学せずに 米農家になることを選んだ佑之助君。
おもしろくて頼もしい、若い二人です。
佑之助君・萌さんの「亀之山農園」
https://www.instagram.com/kameno_yama/
萌さんの野良着ブランド「龜ノ衣」
https://www.instagram.com/kameno.i/
ポッドキャスト「亀之山農園の のらラジ」
https://open.spotify.com/show/5eDb842wP6Kd0xi52PHBnM
米農家のお二人らしく、
性別発表 はおにぎりの具。
梅(女の子)か? 昆布(男の子)か?!

妊婦健診の際に体重を量るのも米の秤(はかり)。
60kgまでしか量れません。
妊娠26週にはお田植祭を主催、
妊娠中の日々を楽しんでいました。

36週には全国ツアー中の
萌さんのご両親の野外劇団「楽市楽座」の韮崎公演がやってきた。
この父母にして、この子あり!

自ら楽しんでよく働き、
手作りのおいしいごはんやまんじゅうを作り、
自分で染めて縫った衣を着て、
丁寧な暮らしをして、自ずと整っていく。
様々な情報にも惑わされず、
自分で自分の心地よいものを選び取る力もありました。
萌さんに会うたびに、私が安心をして、
あとはこちらが邪魔をしないだけだなと。

37週、ボコ(赤ちゃん)と萌さんにお祝いを準備して
全員で集まった“ブレッシングウェイ”。
みんなで即興で歌を回していた時に、
佑之助君からとびでた「全力で支える」の言葉。
萌さんの頬には、透明で純粋な涙がぽろぽろと。

正期産に入り、
「いつ生まれてきてもいいよ、今でもいいよ」
と萌さん。
台所も見事に片付け、
上り坂の神社への往復、
毎日の草刈り、
薪割りに薪運び。

心底驚いたのは、39週0日。
めでたや助産院に寄るとは聞いていたけど、
駐車の音もなく突然、
玄関にはしっとりと濡れた萌さんが着いていて。
「???!」
聞けば、小雨降る中16kmの道のりを4時間半かけて、
強烈な標高差をただただ上り続け歩いてきたと…
「えぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!!」
萌さんは「楽しかったー!」とすっきりした顔。
今日はすごく歩きたかったのだと。
私はもう本当にビックリして、
いろいろ考えていたことも一瞬でぶっ飛んで、
もう どーーーーーでも大丈夫!!!
すごくうれしかった。
もうこりゃ何があっても大丈夫だ!と思っていた。
けど、あれ?あれ??
なぜかいつまで経っても
ボコ(赤ちゃん)はその兆候をみせない。
予定日の40週に入り、
焦る気持ちを納得させながら、
草刈りに薪割りと、
とにかく毎日がんばっている萌さんも
「産まれてこないです…」としょんぼり。
そんな40週2日 \\ よっしゃ!!! //
もういつ産まれてもおかしくないけど、
山中湖の安産祭りに行こう!
妊婦さんは特別に赤いタスキをもらい参加。
神輿は狭い参道を行きつ戻りつ排臨を繰り返しながら、
発露、そしてついに抜けて本殿に雪崩れ込む!
汗だくの群衆の中、もみくちゃになりながら、
萌さんは最前列で神輿について練り歩きました!

予定日を過ぎてからの1日1日は、
萌さんにとっても、助産師にとっても、
毎日がものすごく濃厚で、
大事なことが起きまくる日々でした。
小雨降る中、佑之助君と山に登った萌さん。
それでも陣痛は来ない。
まるで修行僧のような日々。
こんなにがんばっているのに報われない…。
ついに、わーーーっと思いが溢れ出て、
やがて静かに自分の内を見つめたら、
試練だと感じていたこの日々は、
実はもっとあたたかいメッセージで、
ボコ(赤ちゃん)が「よくがんばってるよ!」
と言ってくれている気がした。
そしたら、すっきりして、もう好きなことしよ~!って。
相棒の佑之助にも、溜まっていた思いを伝えられた。
自分の生きてきた道のり、
堪え性がすごく身に着いていたんだな。
でも今は、自分の心の声もちゃんと聴こえるし、
大事にしている。
素直で、純粋で、まっすぐな萌さん。
予定日を超えたらボーナスステージ!
赤ちゃんが元気だから予定日まで来れるんだ。
助産院フジサンバの美幸さんのメッセージにも励まされた。
温泉も一緒に行ったね。
萌さんのすっきりした顔が印象的だった。
小雨が降り続く日々。
稲刈りが1週間延びて、
お産も1週間延びた。
そんな夜、ついに陣痛が…
歩いている方が気がまぎれるから、
佑之助君と小雨降る中、田んぼを歩いた。
強くなっていく陣痛。
おにぎりをにぎって、
お風呂に入って。
スマホも時計もない部屋で、
和蝋燭をともして、
佑之助君と二人で過ごす。
ねこの”みー”も同じ部屋にいる。
朝方、助産師が訪問すると、
暗がりに四つん這いで過ごす萌さん、
腰を押す佑之助君。
静かな時。
二人でずっとこうして過ごしていたことが伝わってくる。

さざ波のように、1つ1つの陣痛が、
ゆっくりゆっくり、でもたしかに進んでいる。
すごく穏やかで、平和で、幸せな時。
萌さんの頬に涙がつーと流れ落ちる。

ボコ(赤ちゃん)はずっと元気な感じがしていて、
そこはすごい安心感があった。
心拍が落ちたりとかしてる感じも全然なかった、と。
それは助産師も一緒の感覚だった。

萌さんは佑之助君と二人で過ごす。
やがて呼ばれて見に行くと、
子宮口はもう全部開いていた。
さまざまな体勢をとりながら、
最後は佑之助君にしっかり手を握ってもらい
踏ん張ることができた。

赤ちゃんの顔が出て、体が出て、
萌さんの胸にきた。
元気な赤ちゃん。

言葉にならない声が溢れ出て泣いている、母。
ありがとう…ありがとう… つっぷして泣いている、父。
4本目の和蝋燭が静かに終わる。
ねこのみーもずっと静かに同じ部屋にいた。

産後は、萌さんは初めての授乳に、
佑之助君は雨天の合間に稲刈り・脱穀で、
もう命がけだった。
比例するように、ずっしりとした気付きの連続。
繊細な自分もいること、
心の声を無視せずに大切にすること。
大事な存在がいるから本当のことしかなかった。
お産の最中も、産後も、
自分のこと、
両親のこと、
周りの人たちのこと、
たくさん振り返ることができた。
今まで持ってきたものが昇華して、
また新たな人生が始まっていく。
「お産は自分に道ができて、
出て、また入ってきて。
風が通る。
人生の窓がまた開いていくんだ。」(萌さん)
